退職金の使い道はどう決める?受け取る前に確認したい5項目

老後資金を準備する

勤務先の退職金規程を確認したところ、私の退職金見込総額は約2,400万円でした。この金額には、退職一時金だけでなく確定拠出年金も含まれています。

一方、私には2軒の住宅ローンが残っています。残高が少ない住宅Aは900万円、住宅Bは33,379,955円です。住宅Aのローンを退職金で返済する可能性は考えていますが、完済すると決めたわけではありません。

ここで確認したいのが、住宅Aのローンを退職金で返済してよいのか。返済後に老後の生活を支えられるお金はいくら残るのかということです。

単純に引けば約1,500万円ですが、それを自由に使える現金とは考えられません。退職一時金と確定拠出年金の内訳、受け取り方、手取り額を確認する必要があり、住宅Aを返しても住宅Bのローンは残るからです。定年後に再雇用するかも検討中です。

退職金については妻とも話しています。ただし、今の私が最も気にしているのは、個別の使い道よりも老後の生活です。

この記事では、退職金の使い道を決める前に確認したい5項目と、確認したお金を4つの目的へ分ける考え方を整理します。

退職金の使い道は、見込総額だけで決めません。年金、再雇用後の収入、生活費、住宅ローン、まとまった支出、受け取り時期を確認してから配分を考えます。

退職金の使い道は必要なお金を確認してから決める

退職金を使ってはいけないわけではありません。反対に、全額を残すことや、住宅ローンを完済することだけが正解でもありません。

大切なのは、退職後に必要なお金を確認してから、使える範囲を決めることです。

私の場合も、退職金の見込額だけでなく、2軒の住宅ローン、再雇用後の収入、退職後の生活費を合わせて確認しなければ、使える金額は決められません。次の順番で、自分の数字を確認します。

  1. 勤務先の退職金制度と見込額
  2. 年金と退職後の収入
  3. 退職後の生活費と毎月の不足額
  4. 住宅ローンと今後のまとまった支出
  5. 受け取り方、手取り額、必要な手続き

退職金の使い道を決める前に確認したい5項目

1.勤務先の退職金制度と見込額

最初に確認するのは、勤務先の退職金制度です。就業規則や退職金規程、人事・総務への確認を通じて、次の項目を調べます。

  • 退職金制度の有無
  • 現時点の見込額と基準日
  • 退職一時金、企業年金、確定拠出年金などの内訳
  • 受給できる時期
  • 一時金、年金、併用など、選べる受け取り方
  • 必要書類と手続き期限

私の勤務先には退職金制度があり、退職金規程も確認済みです。見込総額には、退職一時金と確定拠出年金が含まれています。

ただし、両者の内訳は今回確認できていません。見込総額の全額を、同じ時期に現金で受け取れるとは限りません。また、見込総額は税引き後の手取り額ではありません。

確定拠出年金は、拠出された掛金と運用益の合計をもとに給付額が決まる制度です。受け取り方は加入している制度の規約によって異なるため、自分の制度を確認する必要があります。

退職金の平均額を調べることはできますが、それだけでは自分の受取額は分かりません。使い道を考えるときは、平均額ではなく勤務先から確認できる自分の見込額を出発点にします。

2.年金と退職後の収入

退職後の生活は、退職金だけで支えるわけではありません。公的年金や再雇用後の収入を確認し、毎月の収入がどのように変わるかを整理します。

私はねんきん定期便を確認しています。そこに記載された「これまでの年金保険料納付額」は約1,600万円でした。

この約1,600万円は、将来受け取る年金額ではありません。これまでに納付した保険料の累計額です。公的年金の受給見込額とは分けて確認する必要があります。

ねんきん定期便では、保険料納付額と年金見込額を混同しないことが大切です。年金見込額の読み方は、関連記事で詳しく整理しています。

定年後の再雇用については、現在検討中です。再雇用するとも、しないとも決めていません。給与や手取り額も未確認なので、退職後の収入として確定額には入れられません。

退職金の配分を決める前に、次の数字をそろえます。

  • 公的年金の受給見込額
  • 年金の受給開始予定時期
  • 再雇用する場合の給与と手取り額
  • 退職から年金受給までの収入
  • 企業年金など、公的年金以外の収入

3.退職後の生活費と毎月の不足額

退職金をいくら残すかは、退職後の生活費によって変わります。まず、現在の支出をもとに、退職後の毎月の支出を見積もります。

基本になる計算は次のとおりです。

毎月の不足額=退職後の毎月の支出-退職後の毎月の手取り収入

例えば、仕事を辞めれば通勤に伴う支出などが減る可能性があります。一方で、食費や住宅ローンのように退職後も続く支出があります。住民税、健康保険料、医療・介護費などは、退職時期や加入制度、暮らし方に応じて改めて確認が必要です。

確認する項目は、少なくとも次のとおりです。

  • 食費、水道光熱費、通信費などの生活費
  • 税金と社会保険料
  • 住宅ローン返済
  • 医療・介護への備え
  • 住宅や家電などの維持・更新費用
  • 年金受給前と受給後、それぞれの不足額

私が現在最も不安に感じているのは「老後の生活」です。だからこそ、住宅Aの返済を決める前に、毎月の不足額を確認する必要があります。

内部リンク:老後生活費シミュレーションの記事を公開後に1本だけ設定 –

4.住宅ローンと今後のまとまった支出

私には、次の2軒分の住宅ローンが残っています。

区分ローン残高
住宅A9,000,000円
住宅B33,379,955円
合計42,379,955円

残高が少ない住宅Aについては、退職金で返済する可能性を考えています。

退職金見込総額約2,400万円から住宅Aの900万円を差し引くと、計算上は約1,500万円です。しかし、これは単純な引き算にすぎません。

  • 約2,400万円には確定拠出年金が含まれる
  • 退職一時金と確定拠出年金では、受給時期や受け取り方が異なる可能性があり、同じ時期に全額を現金で受け取れるとは限らない
  • 約2,400万円は税引き後の手取り額ではない
  • 住宅A返済後も住宅Bのローン33,379,955円が残る
  • 約1,500万円のすべてを、すぐ自由に使える現金とは限らない

このため、単純計算だけで住宅Aを完済すべきとは結論づけられません。

判断するときは、住宅Aの金利、残りの返済期間、毎月の返済額、繰上返済手数料、返済後に確保できる現預金なども確認します。住宅Bの返済と老後の生活費も同時に考える必要があります。

現時点で、ほかに予定している大きな支出は特にありません。旅行や趣味へ退職金を使う具体的な希望もありません。ただし、将来の住宅修繕、医療・介護、車や家電の買い替えなど、今は時期が決まっていない支出もあります。予定がないことと、今後支出が発生しないことは同じではありません。

5.受け取り方、手取り額、必要な手続き

退職金の見込額と手取り額は同じではありません。退職一時金と確定拠出年金では、受け取り方や税務上の扱いが異なる場合があります。

一般的な退職金は、見込額と税引き後の手取り額が異なります。「退職所得の受給に関する申告書」の提出方法も確認します。

確定拠出年金の老齢給付金は、制度の規約に応じて年金または一時金で受け取るため、退職一時金とは受け取り方が異なる可能性があります。

税額や手取り額は、受給時期やほかの退職金などの個別条件によって変わります。この記事では詳細な税額計算は行いません。

受給前に確認したいのは次の項目です。

  • 退職一時金と確定拠出年金の内訳
  • それぞれの受給時期
  • 選択できる受け取り方
  • 「退職所得の受給に関する申告書」の提出方法
  • 過去または今後に受け取るほかの退職一時金
  • 税引き後の手取り見込額

税金は受給時期や他の退職金との関係などでも変わるため、個別の判断は勤務先、税務署、税理士などに確認します。

退職金を4つの目的へ分けて考える

5項目を確認したら、退職金を目的別に仮配分します。ここでいう「4つの目的」は、必ず4口座に分けるという意味ではありません。必要なお金と使えるお金を混同しないための整理方法です。

1.年金受給までの生活をつなぐお金

退職から公的年金の受給開始までに、生活費が不足する場合に使うお金です。

再雇用するか、再雇用後の手取りがいくらになるかによって、必要額は変わります。税金や社会保険料も含め、すぐ使える資金として確保します。

2.年金受給後の不足を補うお金

公的年金などの収入だけで毎月の生活費を賄えない場合、その不足を補うお金です。

毎月の不足額が小さくても、期間が長ければ必要額は大きくなります。年金見込額と退職後の生活費を確認し、何年間取り崩す可能性があるかを考えます。

3.まとまった支出に備えるお金

住宅の維持、医療・介護、車や家電の買い替えなど、一度にまとまって発生する支出への備えです。

私には現時点で具体的な大きな支出予定はありません。それでも、金額や時期が未定の支出に備える枠は、日々の生活費とは分けて考えます。

4.本人や家族が希望することに使うお金

必要な生活資金や将来の支出を確保したあとには、本人や家族が希望することに使う選択肢もあります。

退職金を使うこと自体が問題なのではありません。使える範囲を確認せずに決めることが問題です。私には現在、旅行や趣味へ使う具体的な希望はありませんが、今後希望が生まれたときは、ほかの3つの目的を確認してから予算を決めます。

退職金の使い道で避けたい4つの決め方

平均額を自分の退職金見込額として使う

退職金の平均額は、企業規模、勤続年数、退職理由、調査対象などによって変わります。

平均額は参考にはなりますが、自分が受け取れる金額ではありません。まず勤務先の退職金規程と、自分の見込額を確認します。

退職金を住宅ローン返済に全額使うと先に決める

住宅ローンを返せば、毎月の返済や将来の利息を減らせます。一方で、返済に使った分だけ手元のお金は減ります。

住宅ローンの返済を先に決めず、年金受給までの生活費、年金受給後の不足、まとまった支出を確認します。金利、返済期間、手数料、保障内容なども判断材料です。

受給後すぐに大きな支出や契約を決める

退職金を受け取ったからといって、すぐに全額の使い道を決める必要はありません。

退職後の収入と支出が見えるまでは、判断を保留する方法もあります。大きな契約をする場合は、手数料、解約条件、資金が必要になったときに引き出せるかを確認します。

仕組みを理解できない商品へ一度に預ける

金融商品を検討するときは、少なくとも次の点を自分で説明できるか確認します。

  • 元本保証の有無
  • 値動きによって損失が出る可能性
  • 購入時、保有中、解約時の手数料
  • 中途解約の条件
  • 必要なときに換金できるか

理解できない点が残るなら、急いで契約しないことも選択肢です。この記事では、特定の金融商品を退職金の使い道として推奨しません。

私が退職金について確認して分かったこと

私が現時点で確認できていることを整理すると、次のようになります。

確認項目現在分かっていることこれから確認すること
退職金見込総額は約2,400万円。退職一時金と確定拠出年金を含むそれぞれの内訳、受け取り方、手取り額
公的年金ねんきん定期便と保険料納付額を確認済み受給見込額を家計計画へ反映する
再雇用再雇用するか検討中再雇用の有無、給与、手取り額
住宅Aローン残高は900万円。退職金での返済を検討中返済するか、返済後の手元資金
住宅Bローン残高は33,379,955円退職後の返済計画
大きな支出現時点で具体的な予定はない将来発生する支出への備え

私の場合、次に必要なのは退職後の生活費を出し、公的年金や再雇用後の収入と比べることです。そのうえで、退職一時金と確定拠出年金の内訳、受け取り方、手取り額を確認します。

退職金を受け取る前に行う5ステップ

  • [ ] 勤務先の退職金制度と見込額を確認した
  • [ ] 年金と再雇用後の収入を確認した
  • [ ] 生活費とまとまった支出を書き出した
  • [ ] 退職金を4つの目的へ仮配分した
  • [ ] 家族と確認してから使い道を決めた

FAQ 退職金の使い道に関するよくある質問

Q
退職金は全額残したほうがよいですか?
A

全額を残すことだけが正解ではありません。

年金受給までの生活費、年金受給後の不足、まとまった支出を確認したうえで、本人や家族が希望することに使える金額を考えます。反対に、必要額が分からない段階で使い道を決めるのは避けます。

Q
退職金で住宅ローンを完済したほうがよいですか?
A

一律には決められません。金利、残高、返済期間、手数料、団体信用生命保険、完済後に残る手元資金を確認します。詳しい判断は、住宅ローンを扱う関連記事で整理します。

Q
退職金はいくら手元に残せばよいですか?
A

すべての家庭に共通する金額や割合はありません。退職後の毎月の不足額、年金受給までの期間、住宅ローン、医療・介護、まとまった支出から、自分に必要な金額を計算します。

Q
一時金と年金はどちらで受け取るほうが得ですか?
A

一律には判断できません。制度、受給額、受給期間、ほかの所得、税金によって変わるため、勤務先や制度の窓口で確認します。

Q
退職金を受け取ったら確定申告が必要ですか?
A

「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先へ提出し、適切に源泉徴収されていれば、退職所得について原則として確定申告は必要ありません。提出していない場合は、退職金の収入金額から20.42%が源泉徴収され、確定申告で精算します。医療費控除や寄附金控除などの理由で確定申告をする場合は、退職所得の金額も記載します。

まとめ|退職金の使い道は自分の数字を確認してから決める

退職金の使い道は、見込総額だけでは決められません。退職一時金と確定拠出年金の内訳、年金、再雇用後の収入、生活費、住宅ローンを並べて初めて、使える金額が見えてきます。

私の場合も、住宅Aのローンを返済するかはまだ決めていません。先に確認するのは、退職後の毎月の生活費と、退職一時金・確定拠出年金それぞれの手取り額です。

退職金規程をまだ見たことがない方は、まず勤務先で自分の制度と見込額を確認するところから始めてください。

参考にした公的資料

国税庁「退職金と税」(2026年7月19日確認)
厚生労働省「確定拠出年金制度の概要」(2026年7月19日確認)
日本年金機構「ねんきん定期便に表示されている年金額は、将来必ず受け取ることができる金額ですか」(2026年7月19日確認)
本記事は2026年7月19日時点で確認できる公的情報をもとに作成しています。税金や年金、確定拠出年金の制度は変更される可能性があります。個別の判断は、勤務先、制度の運営管理機関、税務署、税理士などへ確認してください。

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