再雇用後の給与条件を調べたあと、ダイニングテーブルに住宅ローンの返済予定表を広げました。
最終返済年月は2040年5月。完済するのは72歳です。通常月の返済額は13万5,000円ですが、年2回のボーナス月には15万円が加わり、支払いは28万5,000円になります。
現役の今は払えています。しかし、給料が下がる再雇用後も続けられるのか。65歳から年金を受け取り始めても、返済は残ります。
「退職金で完済すればいい」と考えかけましたが、住宅ローンが消える代わりに、老後に使える現金も減ります。簡単には決められません。
先に結論を書くと、定年後の住宅ローン返済計画は完済年齢だけでは決められません。再雇用後と年金受給後の毎月収支、完済後に残る手元資金を確認して判断します。
この記事では、当初3,200万円を固定金利2.4%で借りた、わが家の返済計画を確かめます。
定年後の住宅ローン返済計画は3つの時点で確認する

返済計画を見る時点は、再雇用が始まる60歳、年金受給が始まる頃の65歳、完済予定の72歳です。これは家計を確認する3つの時点です。
一方、返済予定表で確認する残高は、現在残高、60歳時点の予定残高、65歳時点の予定残高の3つです。72歳は残高を確認する時点ではなく、残高がゼロになる予定の完済年齢として扱います。
つまり、家計は60歳・65歳・72歳の順に見通し、残高は現在・60歳・65歳の順に書き出します。似た3区分ですが、確認する目的は異なります。
60歳時点は再雇用後の手取りと比べる
60歳時点では、返済予定表の予定残高と返済額を、再雇用後の手取りや生活費と照合します。
わが家の60歳時点の予定残高は、まだ確認できていません。当初借入額3,200万円から、これまで払った金額を単純に引いても残高にはなりません。毎回の返済には元金と利息が含まれるため、借入先の返済予定表で確認します。
65歳時点は年金と残りの返済期間を見る
65歳時点では、予定残高と残りの返済期間を確認します。わが家は72歳完済ですが、65歳時点の残高は未確認です。返済予定表や借入先金融機関の公式シミュレーションで確認します。
完済時点は年齢だけで判断しない
72歳完済という理由だけで、退職金をまとめて使うとは決めません。返済中の収入、生活費、預貯金、修繕費を一緒に見て、家計が続くかを判断します。
返済予定表からわが家の住宅ローンを整理する
分かっている契約条件と、未確認の残高を分けます。
| 確認項目 | わが家の住宅ローン |
|---|---|
| 当初借入額 | 3,200万円 |
| 現在残高 | 返済予定表で確認 |
| 通常月返済額 | 13万5,000円 |
| ボーナス月返済額 | 28万5,000円 |
| 年間返済額 | 192万円 |
| 月平均の返済負担 | 16万円 |
| 金利 | 固定2.4% |
| 最終返済年月 | 2040年5月 |
| 完済年齢 | 72歳 |
| 60歳時点の残高 | 返済予定表で確認 |
| 65歳時点の残高 | 返済予定表で確認 |
3,200万円は当初借入額であり、現在残高ではありません。平均残高との比較ではなく、わが家の返済額、完済時期、手元資金で判断します。
年間返済額は192万円、月平均では16万円になる
通常月は13万5,000円、ボーナス月は15万円が加わるため28万5,000円です。年間返済額を計算します。
13万5,000円×12カ月=162万円
15万円×年2回=30万円
162万円+30万円=192万円
192万円÷12カ月=16万円
13万5,000円は通常月の引き落とし額、16万円は年間返済額を家計管理用に月割りした金額です。月2万5,000円を別に確保すると、ボーナス加算分に備えられます。
再雇用後も年間192万円を返せるか計算する
再雇用後の返済は、額面給与ではなく手取りと世帯支出で判断します。
再雇用後の手取り-住宅ローンを含む毎月支出=毎月収支
再雇用後の手取りと生活費は未確認です。勤務先の提示条件と手取り試算がそろってから式へ入れます。
毎月支出に月平均16万円を含めた場合は、住宅ローンをもう一度引きません。生活費と分けている場合だけ、両方を引きます。
ボーナス加算分30万円を給料の賞与だけに頼らない
再雇用後も同じ賞与が出るとは限りません。年30万円のボーナス加算分を月2万5,000円ずつ準備しても、収支が黒字か確認します。住民税や勤務条件が変われば再計算します。
65歳以降は年金見込額と返済額を比べる
ねんきん定期便を確認したところ、年金見込額は年額2,120,743円でした。
2,120,743円÷12カ月=約176,729円
約17万7,000円は額面の月額目安で、手取りでも将来の確定額でもありません。
月平均返済負担16万円に近く見えますが、年金は額面であり、ほかの生活費も必要です。単純比較で「返せる」とは判断せず、年金の手取りと生活費を確認します。
年金などの手取り収入-住宅ローンを含む毎月支出=65歳以降の毎月収支
65歳以降も働く場合は、年金と就労収入を分け、条件が変わる時点で再計算します。
完済後も住居費はなくならない
完済後も、固定資産税、火災保険・地震保険、修繕費は残ります。マンションなら管理費・修繕積立金も家計に残します。
定年後の住宅ローン返済計画を3案で比べる

3案を同じ項目で比べます。
| 比較項目 | 予定どおり72歳まで返済 | 一部を繰り上げ返済 | 退職金などで完済 |
|---|---|---|---|
| 毎月の返済負担 | 通常月13万5,000円、月平均16万円 | 選ぶ方式と繰上額で変わる | 0円。ただし完済手続後から |
| 完済時期 | 2040年5月、72歳 | 期間短縮型なら早まる。返済額軽減型は原則維持 | 完済実行時 |
| 残る退職金・預貯金 | まとめて減りにくい | 繰上返済額だけ減る | 完済額だけ大きく減る |
| 今後の生活費 | 毎月返済を生活費と一緒に確保 | 月負担を下げる案も選べる | ローン返済はなくなる |
| 修繕費などへの備え | 手元資金から確保 | 実行後の残額から確保 | 完済後に残る資金から確保 |
予定どおり72歳まで返済する
退職金や預貯金を一度に減らさずに済む一方、再雇用後と年金受給後も返済が続きます。予定残高、毎月収支、今後の利息を返済予定表で確認します。
一部を繰り上げ返済する
- 期間短縮型:毎月返済額を原則変えず、完済時期を早める
- 返済額軽減型:返済期間を原則変えず、毎月返済額を減らす
利息だけでなく、再雇用後の月負担も比べます。固定金利2.4%で減る利息は、現在残高と実行時期が未確認のため推測せず、借入先の公式シミュレーションで確認します。手数料、最低金額、手続きは借入先によって異なります。
住宅ローン控除を受けている場合は、繰り上げ後の償還期間などが控除へ影響しないかも確認します。国税庁は、繰り上げ返済後の償還期間が要件を満たさなくなった場合、その年以後は控除を受けられないと案内しています。
退職金などで完済する
完済すれば返済と今後の利息は減りますが、老後に使える現金も減ります。次の式で手元資金を確認します。
完済後の手元資金=預貯金+退職金-完済額-予定しているまとまった支出
現在残高、退職金、預貯金は未確認です。実額がそろってから判断します。
住宅ローンをゼロにすることより、完済後も生活を続けられることを優先します。
老後資金全体の必要額は、毎月の不足額から整理しています。

団体信用生命保険の保障内容は契約書で確認します。住宅ローン控除中なら、完済前に借入先や税務署などへ個別条件を確認します。
退職金で完済する前に残すお金を確認する
完済後も次のお金を残せるか確認します。
- 年金受給開始までの生活費
- 年金受給後の毎月不足額
- 自宅の修繕費
- 車の買い替え
- 教育費
- 医療・介護への備え
- その他のまとまった支出
団体信用生命保険の保障内容は契約書で確認します。住宅ローン控除中なら、繰り上げ返済や完済の前に、借入先と税務署などへ個別条件を確認します。
返済計画が赤字なら遅れる前に相談する
再雇用後の収支が赤字になる、ボーナス加算分を準備できない、65歳以降は預貯金を取り崩し続ける結果なら、返済が遅れる前に借入先へ相談します。
住宅金融支援機構も返済方法の変更を案内していますが、内容は契約や状況で異なります。新しい借金で返済せず、延滞前に相談します。
FAQ 定年後の住宅ローン返済に関するよくある質問
- Q60歳時点の住宅ローン残高はいくらなら大丈夫ですか?
- A
一律の安全額はありません。予定残高を、再雇用後の手取り、返済額、手元資金と合わせて判断します。
- Q72歳まで住宅ローンが残っても大丈夫ですか?
- A
完済年齢だけでは判断できません。65歳以降の手取り収入、住宅ローンを含む支出、修繕費などを引いた毎月収支が続くかを確認します。
- Q退職金で住宅ローンを完済してはいけませんか?
- A
完済自体が悪いわけではありません。完済後の手元資金で生活費や修繕費、医療・介護などに備えられるかが判断基準です。
まとめ|最初に返済予定表で3つの残高を確認する
わが家は固定金利2.4%、年間192万円を返し、2040年5月に72歳で完済する予定です。
次に、現在・60歳・65歳の残高を返済予定表で確認し、再雇用後と年金受給後の収支へ入れて3案を比べます。
今日の行動は、借入先から返済予定表を取り寄せるか、公式シミュレーションへログインすることです。推測ではなく、自分の残高から定年後の返済計画を始めます。
参考にした一次資料
- 住宅金融支援機構「繰上返済(個人住宅融資の場合)」
- 住宅金融支援機構「返済方法の変更」
- 国税庁「繰上返済等をした場合の償還期間」
- 日本年金機構「令和8年度『ねんきん定期便』(ハガキ)の見方(50歳以上の方)」
- 借入先金融機関の返済予定表・契約条件・公式シミュレーション
本記事は2026年7月19日時点で確認できる情報をもとに作成しています。制度や契約条件は変わる可能性があります。個別の条件は借入先金融機関、税務署、日本年金機構などへ確認してください。



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