退職後に届いた納付書を開くと、今の収入に比べて住民税が高く見えます。
「給料は減ったのに、なぜ税金は減らないのだろう」と感じるのは不自然ではありません。
主な理由は、住民税が原則として前年の所得を基に計算されるからです。給与天引きの12回から、納付書による少ない回数の支払いへ変わり、1回分が大きく見えることもあります。
請求額が正しいかは通知書で確認できます。支払いが難しいときは放置せず、納期限前に市区町村へ相談してください。
退職後の住民税が高いのはなぜ?
退職後の住民税が高く感じる理由は、主に3つあります。
1つ目は、退職前の所得を基にした税額を、収入が減ったあとに払うためです。
2つ目は、会社員の間は毎月の給与から少しずつ引かれていた税額が、納付書では期別の金額として見えるためです。
3つ目は、退職時に現年度の残額が一括徴収される場合があるためです。
実際に税率が上がったとは限りません。まず、対象年度、年税額、支払い方法を分けて確認します。
収入が減っても住民税が下がらない理由
住民税は前年の所得を基に計算される
個人住民税の所得割は、原則として前年1月から12月までの所得を基に計算されます。
前年の所得に対する住民税を、翌年度に支払う仕組みです。
会社員の住民税は、通常、6月から翌年5月まで給与から引かれます。退職して給与がなくなっても、すでに決まっている税額の支払いは残ります。
退職した年と住民税が下がる年にはずれがある
たとえば、2026年の途中まで会社から給与を受け取った場合、その給与所得を基にした住民税は原則として2027年度に課税されます。
2026年の退職直後に払っている住民税と、2027年度に新しく決まる住民税は、対象となる所得の年が違います。
退職時に残額を一括で払っても、翌年度の課税まで前払いしたとは限りません。この時差が「また請求が来た」という感覚につながります。

納付書の住民税が高く見える理由
毎月の天引きから自分で払う方法に変わる
会社が給与から住民税を差し引く方法を特別徴収といいます。通常は6月から翌年5月までの12回です。
退職後、自治体の納付書などで自分で払う方法を普通徴収といいます。普通徴収の納期は自治体が定めており、特別徴収より支払回数が少ない場合があります。
同じ年税額でも、12回払いから少ない回数へ変われば、1回の支払額は大きく見えます。
複数月分がまとまって表示されることがある
年度途中で普通徴収へ切り替わると、給与から引けなかった残額が、残っている納期へ配分されることがあります。
納付書の1枚分を、給与明細の1か月分とそのまま比べないでください。納付書の対象年度、期別、年税額を見ます。
退職時に一括徴収される場合がある
一括徴収とは、現年度に給与から引ききれていない住民税を、最後の給与や退職手当などからまとめて差し引く方法です。
1月1日から4月30日までの退職では、給与などの条件を満たす場合、原則として一括徴収されます。6月1日から12月31日まででも、本人の申出で一括徴収される場合があります。
5月退職では、5月分を最終月分として通常の給与から特別徴収します。最後の給与や退職手当などで引ききれない場合は、残額が普通徴収になることがあります。
最後の給与が急に少なくなったときは、給与明細の住民税欄を確認してください。
再雇用後の給料が下がると住民税が高く感じる理由
再雇用後は額面給与が下がることがあります。一方、退職直後の住民税は、定年前の所得を基にした税額が残るため、手取りに占める割合が大きく見えます。
ここで、住民税だけを見て生活できるか判断しないことが大切です。給与からは社会保険料や所得税も引かれます。住宅ローンや生活費が続く場合は、手取り全体で確認します。
再雇用後の手取りと60歳から65歳までの家計の詳しい確認は、記事028の役割です。本記事では重複して計算しません。
退職後の住民税が正しいか確認する方法
住民税の税額決定通知書を見る
最初に見るのは、特別徴収税額の決定・変更通知書や、自治体から届く納税通知書です。
対象年度、年税額、所得割、均等割、森林環境税、控除の欄を確認します。所得割とは前年所得に応じる部分、均等割とは定額で負担する部分です。森林環境税は、令和6年度から個人住民税と合わせて徴収されている国税です。
前年の源泉徴収票を確認する
通知書の所得欄を、前年の源泉徴収票と照らします。源泉徴収票の「支払金額」を、そのまま住民税の課税所得と考えないでください。給与所得控除や所得控除を経て計算されます。
所得控除が反映されているか確認する
社会保険料控除、配偶者控除、扶養控除、生命保険料控除など、自分が申告した控除が通知書に反映されているか見ます。
控除漏れのように見えても、その場で計算間違いと決めつけず、前年の申告内容と必要書類を確認します。
分からない場合は市区町村へ問い合わせる
通知書、前年の源泉徴収票、確定申告書の控えがあれば手元に置きます。市区町村へ「対象年度と所得・控除の内訳を確認したい」と伝えます。
自分で概算する方法は下記の記事で整理しています。
納付書自体が届いていない場合は、会社の異動届と自治体の切替処理を確認します。
退職後の住民税が払えないときは放置しない
納期限前に市区町村へ相談する
支払いが難しいと分かった時点で、納付書に書かれた住民税担当または納税相談窓口へ連絡します。
求められる資料や確認内容は自治体によって異なります。
減免の条件は自治体ごとに異なる
減免とは、条例などの条件を満たした場合に税負担を軽くする制度です。退職や収入減だけで自動的に適用されるものではありません。
対象理由、所得・資産の条件、申請期限は自治体ごとに確認してください。納期限を過ぎる前の申請が必要な制度もあるため、通知書が届いたら早めに調べます。
徴収猶予や分割納付が可能か確認する
徴収猶予とは、災害、病気、事業の廃止など一定の事情で納付が難しい場合に、要件を確認したうえで納付を猶予する制度です。
分割納付を相談できる自治体もあります。ただし、希望すれば必ず認められるわけではありません。猶予中の取扱いや延滞金も制度・状況で異なります。
「払えないから納付書を置いておく」ことは避け、期限前に相談してください。

退職前にできる住民税への備え
現在の住民税月額を確認する
給与明細と税額決定通知書を出し、月額と年税額をメモします。最後の給与で一括徴収するかは会社へ確認します。
退職後の支払予定額を分けておく
現年度の未徴収額と、退職した年の所得に対する翌年度分を別々にメモします。正確な翌年度税額が分からない段階では、自治体の試算窓口や税額シミュレーションの有無を確認します。
再雇用後の手取りに住民税を入れて計算する
再雇用契約書の額面だけで判断せず、住民税を含む控除後の手取りを給与担当者へ確認します。税額が確定していなければ、現在の月額を仮置きし、確定後に差し替えます。
FAQ 退職後の住民税が高いときによくある質問
退職後の住民税はなぜ高く感じますか?
前年所得を基にした税額を、収入が減ったあとに払うためです。給与天引きより納付回数が少なくなり、1回分が大きく見えることもあります。実際の年税額が増えたかは通知書で確認します。
翌年になれば住民税は安くなりますか?
退職後の所得が下がれば、その所得を基にする翌年度の所得割が下がる可能性はあります。ただし、所得控除、均等割、非課税基準なども関係するため、一律には断定できません。
退職後の住民税は減免されますか?
自治体が定める要件を満たし、申請が認められた場合に減免されることがあります。退職した人全員が対象ではありません。申請期限と必要書類を確認してください。
一括徴収で住民税が高く見えるのはなぜですか?
一括徴収では、給与からまだ引かれていない現年度の住民税を、最後の給与や退職手当などからまとめて差し引きます。月額が上がったのではなく、複数月分を一度に払っている場合があります。
退職後の住民税が払えないときはどうしますか?
納付書に書かれた市区町村の住民税担当または納税相談窓口へ、納期限前に連絡します。減免、徴収猶予、分割納付の対応や条件は自治体と個別事情で異なり、必ず認められるものではありません。
まとめ|住民税が高いと感じたら金額と納期限を確認する
退職後の住民税が高く感じる主な理由は、前年所得に基づく税額を、収入が減ったあとに払うためです。給与天引きより支払回数が少なく、1回分が大きく見えることもあります。
今日行うことは、納付書の対象年度、年税額、納期限を確認することです。次に前年の源泉徴収票と税額決定通知書を並べます。
支払いが難しければ、納付書をしまい込まず、期限前に市区町村へ相談してください。
仕組みを知っておけば、「なぜ高いのだろう」という不安を整理できます。まずは通知書の内容を確認し、必要に応じて早めに相談しましょう。






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