夫婦の老後資金の目安はいくら?50代から確認したい6つのお金

老後資金を準備する

夫婦の老後資金の目安は、2,000万円などの平均額だけでは決められません。まず、夫婦の生活費と年金の差額を確認します。そのうえで、生活費に含めていない住宅修繕費や医療・介護費などを加え、退職金や預貯金などの準備済み資金を差し引いて考えます。

「老後資金は夫婦でいくら必要なのか」と不安になったら、総額を先に決めるより、確認する数字を分ける方が現実的です。この記事では、夫婦二人の老後資金を考えるための6項目と、50代から確認する順番を説明します。

老後資金全体の基本を先に整理したい場合は、老後資金はいくら必要かを考える基本も参考になります。この記事では、夫婦それぞれの数字と、一人になった後の生活に焦点を絞ります。

夫婦の老後資金の目安は平均額だけでは決められない

老後資金の目安は、夫婦の暮らし方によって変わります。持ち家か賃貸か、住宅ローンがいつ終わるか、何歳まで働くかによって、同じ年金額でも必要な準備額は同じになりません。

総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2025年平均結果」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯では、月平均の実収入が254,395円、可処分所得が221,544円、消費支出が263,979円でした。対象世帯の世帯人員は2.00人、世帯主の平均年齢は77.6歳です。

実収入は税金や社会保険料を差し引く前の収入、可処分所得は実収入から直接税や社会保険料などの非消費支出を引いた金額です。

消費支出には食費、住居費、光熱・水道費、保健医療費などが含まれますが、税金や社会保険料は含みません。いずれも2025年の月平均値であり、中央値ではありません。

この平均は、夫婦の老後資金がいくら必要かを考える比較材料にはなります。しかし、50代夫婦がそのまま使える必要額ではありません。夫婦世帯の平均額を探すだけでなく、自分たちの生活費と収入の差を確認することが出発点です。

夫婦の老後資金の目安を決める6つのお金

夫婦の老後資金を試算する前に、次の6項目を別々に確認します。数字を一度にそろえなくても、分かる項目から書き出せば構いません。

1.夫婦の毎月の生活費

現在の生活費を、そのまま老後の全期間へ当てはめないことが大切です。支出を「退職後に減るもの」「残るもの」「増える可能性があるもの」に分けます。

通勤費や教育費は減る可能性があります。食費、光熱費、通信費、保険料は形を変えて残ります。趣味・交際費や保健医療費は、暮らし方や健康状態によって変わります。車関連費も、保有を続ける期間を決めないと見積もれません。

夫婦二人の生活費は、単身世帯の生活費を単純に2倍した金額ではありません。住居や家電などを共有する一方、食費や移動費は人数の影響を受けるからです。期間別の整理は、老後の生活費をシミュレーションする方法で詳しく確認できます。

2.夫婦それぞれの年金見込額

夫婦それぞれの「ねんきん定期便」または「ねんきんネット」で、年金見込額を確認します。片方の年金だけで夫婦の老後資金を判断すると、もう片方の加入記録や受給開始時期が抜けてしまいます。

年額で表示されている場合は12で割り、夫婦それぞれの月額を並べます。ただし、表示された年金額は額面です。実際の手取りは、税金や社会保険料の状況により異なります。

年齢差がある夫婦では、二人が同時に受給を始めるとは限りません。日本年金機構の「ねんきんネット」では、今後の働き方や受給開始年齢などの条件を設定して見込額を試算できます。読み方に迷ったら、記事024「50歳以上のねんきん定期便の見方」を先に確認してください。

3.持ち家・賃貸・住宅ローンなどの住居費

老後資金は、夫婦が持ち家で暮らすか、賃貸で暮らすかによって変わります。ただし、持ち家なら住居費がゼロになるわけではありません。

持ち家では、住宅ローン残高と完済予定年齢に加え、固定資産税、火災保険、修繕費を確認します。マンションなら管理費と修繕積立金も続きます。退職後まで住宅ローンが残る場合は、再雇用中と年金受給後に分け、返済額を生活費へ入れます。

賃貸では、家賃、共益費、更新料、保証料を確認します。住み替える予定があれば、引っ越し費用も別にします。高齢期も同じ住まいを借り続けられるか、家賃が変わった場合に対応できるかも夫婦で話しておく項目です。

4.退職金・預貯金・企業年金

準備済み資金は、夫婦それぞれに分けて確認します。普通預金、定期預金、退職金見込額、企業年金、企業型確定拠出年金などを一つの一覧へまとめます。

退職金の制度と見込額は勤務先の資料や担当部署で確認します。受取時期もそろえておくと、夫婦のどちらがいつ退職するかを家計表へ反映できます。

退職金を全額、毎月の生活費へ使えるとは限りません。住宅ローンの返済、家の修繕、車や家電の買い替え、医療・介護関連費に使う予定があれば、その分を分けます。投資利回りを仮定せず、まず現在確認できる残高と制度上の見込額を使います。

5.医療費・介護費・まとまった支出

毎月の生活費とは別に、時期と金額が一定でない支出を一覧にします。候補は、住宅修繕、車・家電の買い替え、医療費、介護関連費、冠婚葬祭、子どもへの援助、引っ越し、旅行などです。

全世帯に共通する一律の金額はありません。「いつ頃」「何に」「現時点でいくらを見込むか」の3列で書き、金額が分からないものは「未確認」とします。公的な医療・介護制度の対象や自己負担は条件で変わるため、利用時点の自治体、健康保険、厚生労働省の案内で確認します。

6.夫婦のどちらか一人になった後の生活費

夫婦二人から一人の暮らしになっても、生活費は単純に半分にはなりません。食費など人数で変わる支出は減る一方、家賃、固定資産税、住まいの修繕費、通信費などは残ります。

世帯の年金収入も変わる可能性があります。遺族厚生年金は、亡くなった方の加入状況、受給要件、遺族の年齢や家族構成、自身の老齢厚生年金の有無などにより扱いが異なります。金額を自己判断せず、日本年金機構または年金事務所で個別に確認してください。

ここで目的にするのは、不安を大きくすることではありません。一人になった場合の住まい、毎月残る支出、資産や負債の保管場所、相談先と連絡先を共有しておくと、将来の家計を整理しやすくなります。夫婦で老後資金を考えるときは、二人で暮らす期間と一人で暮らす可能性がある期間を分けて確認します。この点が、独身の老後資金を考える場合との違いです。

夫婦の老後資金の目安を簡単に考える方法

夫婦の老後資金の目安は、次の順番で簡易計算できます。

毎月の不足額 = 老後の毎月の生活費 − 夫婦の毎月の年金見込額

基本的な不足額 = 毎月の不足額 × 12か月 × 不足が続く年数

最終的に確認する不足額 = 基本的な不足額 + まとまった支出 − 退職金・預貯金などの準備済み資金

これは全体像をつかむための簡易計算です。税金、社会保険料、物価上昇、医療費、介護費、夫婦の年齢差、年金受給開始時期、一人になった後の家計は別に確認します。

毎月の不足額がゼロ以下でも、まとまった支出の準備は必要です。反対に不足額が出ても、それだけで準備が手遅れという意味ではありません。計算を詳しく進めるときは、老後資金の不足額を計算する方法を使ってください。

夫婦だから確認したい3つの注意点

夫婦のどちらか一方の数字だけで判断しない

年金、退職金、企業年金、預貯金、負債を夫婦それぞれについて確認します。一方だけが家計を管理している場合も、保管場所と現在額を共有します。

共有する目的は、使い方を一方的に決めることではありません。夫婦二人の老後資金について、同じ数字を見ながら話せる状態をつくることです。

支出が終わる時期を確認する

住宅ローン、教育費、車のローン、保険料、通勤費、子どもへの援助には、終わる時期があります。現在の支出を老後期間のすべてへ入れると、必要額を大きく見積もることがあります。

「退職まで」「再雇用中」「年金受給後」のように期間を分け、それぞれに残る支出を置きます。終了時期が決まっていない支出は、夫婦で見直す時期だけ決めておきます。

夫婦二人の期間と一人の期間を分ける

夫婦二人で暮らす期間と、一人で暮らす可能性がある期間では、生活費と年金収入の組み合わせが変わります。同じ月額を全期間へ当てはめず、二つの家計として確認します。

将来の年数や金額を断定する必要はありません。二人の期間に必要な項目と、一人になった後も残る項目を分けるだけでも、確認漏れを減らせます。

50代夫婦が今日から確認する順番

50代から夫婦の老後資金を確認するときは、次の順番なら進めやすくなります。

  1. 現在の毎月の生活費を確認する
  2. 夫婦それぞれの年金見込額を確認する
  3. 住宅ローンや家賃の終了時期を確認する
  4. 夫婦それぞれの退職金・預貯金・企業年金を確認する
  5. まとまった支出を書き出す
  6. 毎月の不足額を計算する
  7. 夫婦で数字を共有する
  8. 一人になった後の住まいと生活費を話す

最初から夫婦の老後資金の試算を完成させる必要はありません。今日は生活費、明日は年金というように、一項目ずつ確認します。

FAQ よくある質問

Q
夫婦の老後資金は2,000万円あれば足りますか?
A

一律には決まりません。夫婦の生活費、年金、住居費、退職金、まとまった支出によって必要額が変わります。2,000万円は自分たちの不足額を計算した結果と比べる参考値として扱います。

Q
夫婦二人の老後生活費はいくらで計算すればよいですか?
A

現在の家計を基に、退職後に減る支出、残る支出、増える可能性がある支出へ分けて計算します。統計の平均額は比較に使えますが、そのまま自分たちの生活費にはしません。

Q
持ち家なら老後資金は少なくて済みますか?
A

家賃がない場合でも、固定資産税、火災保険、修繕費が残ります。マンションでは管理費や修繕積立金も確認が必要です。持ち家という条件だけでは老後資金の目安は決まりません。

Q
住宅ローンが老後も残る場合はどう考えますか?
A

完済予定年齢と毎月の返済額を、再雇用中と年金受給後に分けて確認します。退職金で一括返済する場合は、返済後に生活費や修繕費の資金が残るかも確認してください。

Q
退職金は全額を老後資金として計算してよいですか?
A

住宅ローン、住宅修繕、医療・介護関連費、車や家電の買い替えなどに使う予定額を先に分けます。残りを毎月の不足へ充てられる準備済み資金として扱います。

Q
夫婦のどちらかが先に亡くなった場合も計算すべきですか?
A

一人になった後も生活費は半分にならず、年金収入も変わる可能性があります。遺族年金の受給要件や金額は個別条件で異なるため、日本年金機構や年金事務所へ確認します。

Q
50代から老後資金を確認しても遅くありませんか?
A

まず今ある数字を確認するところから始められます。必要額を一度に準備するのではなく、支出が終わる時期、働き方、年金受給開始時期など、選べる項目を整理します。

まとめ

夫婦の老後資金の目安は一律ではありません。まず生活費と年金の差額を確認し、生活費に含めていない住宅修繕費や医療・介護費などを加えます。そこから退職金や預貯金などの準備済み資金を差し引き、一人になった後の生活も分けて確認します。

平均額だけで「足りる・足りない」を決めず、自分たちの数字を一つずつそろえることが大切です。

まずは今日、夫婦それぞれのねんきん定期便を用意し、年金見込額を一枚の紙へ書き出してみましょう。

参考資料

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